ASMRってどういう意味?
ASMRとは「Autonomous Sensory Meridian Response(自律感覚絶頂反応)」の略で、ある刺激がトリガー(引き金)になって起こる、頭皮や首、肩にかけてのゾクゾクする感じや心地よい現象のことです。
見て(視覚)・触れて(触覚)・聞いて(聴覚)感じる、刺激に対する生理的反応がASMRです。
お経や低音ボイスの先生の授業を聞いてウトウトした経験があるなら、あなたはすでにASMRを体験しています。
Youtubeなどで見かけるASMR動画は、ゾクゾク感や心地よさを引き起こす”トリガー”となる動画のことを指します。そして、このような動画を作成している人をASMRtistと呼びます。ASMR artistを1つにした造語です。
つまらない授業をして生徒を眠りにいざなうあの先生も、実は一流のASMRtistなのかもしれません。
名前が長いのはなぜ?
はじめに書いたように、ASMRの正式名称はとても長いです。日本語訳の「自律感覚絶頂反応」からもわかるとおり、難しい専門用語みたいです。
ASMRという用語を作ったジェニファー・アレンさんは、このコミュニティが生き残れるような名前でなければならないと考えたそうです。
当初は疑似科学的だとの批判もありました。科学的に証明されてないので無理もありません。でも、「くだけたわかりやすいものではなく、臨床用語を用いたのは良い選択だった」と、彼女はインタビューで答えています。
Interview with Jennifer Allen(ASMR UNIVERSITY)
臨床用語の堅苦しいイメージが、逆に良い効果をもたらしているのかもしれません。
例えば、「ASMR」と「音フェチ」に対する言葉のイメージを思い浮かべてみてください。感じ方は人それぞれですが、ASMRの方がクリーンなイメージがありませんか?
少なくともオープンな場面で使いやすい、話しやすいのはASMRの方だと思います。The Japan TimesやUSA TODAYなどでも、ASMRが取り上げられています。
ジェニファー・アレンさんのいう「コミュニティが生き残れるような名前」として、ASMRはその役目を十分果たしています。
ASMRという言葉がいつ誕生してどんな風に広まったかについては、こちらをご覧ください。
どんなトリガーがあるの?
ゾクゾクしたりリラックスを感じるトリガー(引き金)は、人それぞれ異なります。それゆえトリガーとなる物も無数に存在します。ここではその中から、より多くの人が共感するだろうトリガーをピックアップしてみました。
ささやき声
これは多くの方が、心地よいと感じるのではないでしょうか。子供の頃にささやくような子守唄を聞いて、いつの間にか眠ってしまった経験は誰でも一度はあるはずです。
ASMR動画の多くは、ささやき声で話しています。なかには声が小さすぎて、何言ってるのかわからないものあります。逆にそれが良いと感じる方は、あえて理解できない外国語のASMR動画を選んだりするのかもしれません。可愛い声やハスキーな声など、声質によっても感じ方が違ってきます。
ページをめくる音
図書館のような静かな場所で耳にする本をめくる音は、耳障りではなく適度な心地よさを感じさせてくれます。Kindleのような電子ブックリーダーは便利ですが、この感覚は電子書籍では味わえません。
辞書に使われている薄い紙と図鑑の厚い紙では、めくる音がぜんぜん違います。それに加えて、めくる時のスピードや指使いで、聞く側の感じ方も変わってきます。
”ページをめくる音”という同じカテゴリーでも、めくる速度や紙質の違いでリスナーの好みも分かれそうです。
頭や髪へのタッチ
美容室でカットやシャンプーをされている時に、思わず寝てしまったという方も多いでしょう。頭や髪は頻繁に触れられる部分じゃないので、そこに刺激があるとトリガーになりやすいのかもしれません。
ASMR動画では実際に触れられることはありませんが、シャンプーのロールプレイを通じてそれに近い感覚を味わえます。あと、触れられるとは違いますが、カットの際に一定のリズムで聞こえるハサミの音も心地よいですね。
軽く叩く(タップする)音
爪や指を使って机・容器・箱などをタップする時に出る音です。タップできるモノなら何でもよくて、マイク自体をタップしている方もいます。
タッピングとはちょっと違いますが、私はキーボードをタイプする音が大好きです。タイピング音のなかでも、メカニカルキーボードのカチカチ音はすばらしいです。
ASMR動画の感じ方は人それぞれ
ある人にとって心地よい音も、自分には不快な雑音に聞こえるかもしれません。上で紹介したキーボードのタイピング音もそうです。食べ物と同じで好き嫌いは人それぞれ。これが正解!というものはありません。
なので、他人の嗜好に対して否定的になるのは、ちょっと違うのではと思います。私も「何これ?」って思うASMR動画に出くわすことがあります。正直何が良いのか理解できませんが、「世の中にはこれを良いと感じる人がいる」ということは理解できます。
否定などはせずに、ただその存在を認識するに留めるのがベストです。
リラックスや癒やしを求めてASMR動画を探してるのに、ネガティブな気分になってしまったら本末転倒です。