ASMRって昔からあった言葉なの?
日本でもだいぶ浸透してきた感のあるASMRという言葉。このページを見ている方なら、「ASMR」と聞くと音フェチ、ささやき声、耳そうじの動画など、なんとなくでもイメージが思い浮かぶのではないでしょうか。
でも、いつごろ生まれた言葉なのかを知る人は少ないと思います。今これを書いている私も知りません。というわけで、ちょっとググッて調べてみました。
ASMR以前のASMR
こう書くとなんか変ですが、私たちが知っている”ASMR”が生まれる以前のASMRです。この言葉自体は、かなり前から存在しています。私が調べた限りでは、3つありました。
まず一つ目はこちら。
American Society of Mining and Reclamation
アメリカ採鉱開墾協会。略してASMRと呼ばれています。1973年に設立されているので、今(2016年)から40年以上前には存在していたことになります。
そして2つ目はこちら。
Age Specific Mortality Rate
特定年齢死亡率、年齢別死亡率の事で、略してASMRです。
最後にもう一つ。
Age-Standardized Mortality Rate
年齢調整死亡率。年齢構成が同じになるように調整した死亡率です。
以前はグーグルでASMRを調べると、上の3つが出てきたのでしょうが今は違います。アメリカのグーグルで調べても、ゾクゾク感のASMRが上位を独占しています。
日本で例えるなら、「花より男子」に検索結果を独占されている「花より団子」のようです。
花より団子を調べてるのに、トップページがこの有様です。日本語を勉強している外国人の方が、これを見て誤解しないかちょっと心配になりました。
現在のASMR
Autonomous Sensory Meridian Response
トリガーとなる音を聞いて、幸せになる方のASMRです。私たちが現在ASMRと認識している解釈は、2007年10月19日にSteadyHealthというサイトで立てられた1つのスレッドから生まれました。
[不思議な感覚が心地良い]
この頃はASMRという言葉はないので、weird sensationと表現しています。スレッドを見るとわかりますが、Youtubeの動画リンクを貼って、私のトリガーは~と話し合っているのは今と変わりません。
ASMRのウィキペディアに書かれている Attention Induced Head Orgasm (AIHO)は、このスレッドで2008年に登場しています。
で、肝心のASMRという言葉ですが、2010年2月19日にジェニファー・アレン(Jennifer Allen)さんという方が生み出した造語です。同じ年にFacebook ASMR グループも作成しています。
最初のASMRtist
ASMRtistとは、トリガーとなる素材(動画や音楽等)を作る人の事です。ASMRのアーティスト(Artist)なので、ASMRtistと呼ばれています。
WhisperingLifeというチャンネルの人が、最初のASMRtistと言われています。「Whisper 1 – hello!」という動画が2009年3月26日に投稿されています。
でも、登録者数が約6000なのであれっ?と思ったのですが、2014年7月に投稿するのをやめて引退状態でした。でも、2016年6月29日に投稿を再スタートしたので、これから登録者数も増えていきそうです。
世間でASMRという言葉が使われだしたのはいつ頃?
2010年2月にASMRという言葉が生まれたのはわかりました。では、一般の人達がいつ頃からASMRというワードを意識し始めたのでしょうか。TwitterとYahoo!知恵袋を使って調べてみました。
2010年2月19日にジェニファー・アレンさんが生み出したASMRという言葉が、同年9月にはツイートされています。
YES! They finally have a name for the thing I feel when I hear whispers or see a massage! 'Autonomous Sensory Meridian Response" (ASMR)
— Elizabeth DeLoria (@elizabethdanger) 2010年9月16日
@natomaton thank you for naming ASMR. Yes, this is a thing all right. For me: music, certain vistas+mood combinations, internal triggers…
— Sanjay (@sadgad) 2010年11月8日
nat vさんのツイートにあるASMR Research & Support(www.asmr-research.org)は、2010年6月にジェニファー・アレンさんが立ち上げたサイトです(現在は停止)。おそらくこのサイトを通じて、「あの感覚、現象はASMRって言うんだ」と多くの方に広まったのでしょう。
日本だとASMRについて関心を持ったツイートは、おそらくこれが最初です。
最近目にすることが。なんだろうASMR… Autonomous Sensory Meridian Responseとは – goo Wikipedia (ウィキペディア) http://t.co/AHzSRuL1
— やっくン (@yakkun_o) 2011年12月13日
2011年12月以前にも、単なるASMR動画の引用したツイートはありました。でも、ASMRという言葉自体に注目してなかったので除きました。
Yahoo!知恵袋
新しい情報に敏感なTwitterユーザーは、日本でも2011年にはASMRに興味を示しています。それでは、ASMRがもっと広く浸透し始めたのはいつ頃なのでしょうか。個人的にはYahoo!知恵袋がちょうど良い指標だと考えています。
ここに質問が出たしたら、一般に広まりつつある前兆と言っていいのではないでしょうか。
Yahoo! Answers(アメリカ)
実際のところ科学者たちはASMRに関して、どれほど理解しているのでしょうか? 何か知りませんか?
2011年4月11日に最初の質問が投稿されています。これに2人の方が回答しています。
論文や学術誌などの文献を検索できるGoogle Scholar(グーグル・スカラー)で調べても、そのほとんどがAge-Standardized Mortality Rate(年齢調整死亡率)に関するものだったそうです。ASMRは個人差のある感覚的なものなので、科学的に実証するのは難しそうですね。
こちらの方は、完全にアメリカ採鉱開墾協会のASMRと勘違いしています。
2011年の11月に入ると、ASMRの質問がぐっと増えていきます。この辺りから徐々に浸透していってる感じがします。
Yahoo! 知恵袋(日本)
ちょっと紹介しづらい某カテゴリーですが、これがASMRについての最初の質問です。2012年3月24日に投稿されています。
2013年は数えるほどしかありませんが、2014年になるとASMRについての質問が急激に増えていきます。この頃になると日本人のASMRtist(ASMR Artist)も何人かいるので、それもASMRの浸透に大きく貢献していると思います。
まとめ
2010年に名のない不思議な感覚は、ASMRと呼ばれるようになりました。以前からあったASMRは花より団子状態になり、グーグルのトップページからも姿を消してしまいます。
2014年以降、日本でも浸透しつつあるASMRですが、まだ市民権を得たと言われるほどではありません。個人的にですが、ASMRを音フェチと表現するのに少し違和感を感じます。
それに、喫茶店とかで「あの音フェチ動画っていいよね!」って言えなくないですか? 人前でも言いやすくてASMRを一言で表現できる日本語って何かないですかね。